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2015.12.29 Tuesday
おがっちの「島根学講座!みたいな!」
このコーナーは、地域が誇る、知る人ぞ知る、島根県内各地の魅力を紹介します。
今年の締めくくりは、松江市東出雲町の「ほし柿」についてお送りします。
担当は、松江市東出雲町畑ほし柿生産組合の三島博さんです。
・松江市東出雲町について。
平成23年8月に松江市と合併し、安来市に隣接する東の玄関口となり、町全体の人口は右肩あがりで、特に新興住宅地では、若い世代の転入が増えています。
東出雲町には、古くから語り継がれてきた神話の舞台が数多くあります。中でも、黄泉(よみ)の国から帰ってきたイザナギを迎え入れた「黄泉比良坂」は、あの世とこの世の境界と言われ、風土記や日本書紀にも登場する「揖夜神社」とあわせ、多くの観光客の皆さんが訪れます。
また、ものづくりのまちとして「農機具」による発展を遂げたほか、県随一の生産高を誇る「揖屋かまぼこ」、ふるさとの香りいっぱいの農産加工品など、特産の宝庫です。
「まる畑ほし柿」も、もちろんそのひとつです。畑地区は、東出雲町の中でも標高150〜200メートルの山あいにあります。里山の美しい自然に囲まれ、豊かな大地の恵みである「まる畑ほし柿」について、今日は存分に紹介させていただきたいと思います。
・東出雲町の畑地区のほし柿づくりについて。
畑地区のほし柿の歴史はとても古く、約450年前の戦国時代、尼子・毛利合戦のときから、ほし柿は保存食として食べられていたと言い伝えられています。
原料の西条柿は、中国地方特有の渋柿で、戦国時代に広まったといわれています。
畑地区は、毛利軍が陣を敷いた京羅木山(きょうらぎさん)の中腹に位置し、寒暖差や土質、そして傾斜地で霜が発生しにくく柿栽培に適していたこと、初冬に吹き抜ける乾いた風が干し柿の乾燥に向いていたなど、良い条件の場所だったのでしょう。
そんな畑地区に、農民や武士が、種や苗木、接木で増やす穂木を持ち込んで伝えたとされています。
昭和30年10月に、「畑ほし柿生産組合」を設立し、柿栽培が盛んになり、棚田や桑畑などに植栽して、増産されてきました。
今では、60年の歴史を経て、農家19戸が15ヘクタールの柿園に
4000本の西条柿を栽培し、毎年40万個前後の干し柿を出荷しています。
また、平成25年3月には、「本場の本物」の認定を受けました。これは、生産者の「原料」と「製法」へのこだわりの証となる地域食品ブランドの表示基準で、全国で46品目のみが指定されています。
・「まるはたほし柿」特徴について。
完熟した柿を枝ごと収穫し、ヘタ部分の除去、皮むき、一縄10個ずつつなぎ、柿小屋に吊るします。すべて手作業で行いますので、大変な労力です。
天候や湿度、柿の状態を見ながら、天日干しによる荒干し乾燥や補助乾燥など、伝統の技を使って仕上げていきます。
平成19年から、果樹部門で全ての農家が「エコファーマー」の認定を受けました。年中通じての草刈りなど、大変な面もありますが、土づくりから始まり、加工に伴う添加物を一切使わないなど、「安心・安全」なほし柿づくりに努めています。
収穫後、約1ヶ月かけてほし柿となります。4分の1まで小さくなりますが、程よいやわらかさと、あめ色の果肉に真っ白な果糖が吹いた姿は、「飴色の宝石」との評価をいただいています。
上品な甘さですが、糖度は80度前後。耳たぶほどの柔らかさは「まる畑ほし柿」の特徴です。
・「まるはたほし柿」今年イタリアで開催された「ミラノ万博」に出品。
「まるはたほし柿」がミラノ万博に出品することになったのは、平成25年3月22日に「本場の本物」に認定されたことから始まりますが、 万博の日本館イベント広場に「本場の本物」を出展するので、ぜひ、ほし柿も参加してほしいと、一本の電話があったのが去年の10月のことで、地区をあげての大騒ぎとなりました。
「世界に誇る日本の伝統食品」〜伝統製法と職人の技と哲学により育まれた地域伝統食品〜をテーマに、「まるはたほし柿」は、出展参加しました。
5月12日からの5日間、ほし柿商品やパネルの展示、試食の提供、パンフレットなど、「日本のほし柿」を世界に紹介、PRしてきました。
ほし柿を食べたイタリア、フランス、スイスなど多くの国々の皆さんから、「大変美味しい、美味しい」との声をいただき、感激しました。
また、試食した方のほとんどから、「ぜひ買わせてほしい」との声があがるなど大好評でした。
この体験から、ほし柿(ドライフルーツ)は世界に通用する「味」と「商品」であると実感しました。
安心・安全をお届けするため、生産組合もがんばっています。どうぞ、おいしい「ほし柿」を食べてください。
・今回の一曲
白築純さん「はたのうた この町に吹く風」
(平成22年10月に、第1回 「はた(畑)サミット」が上意東地区・畑地区で開催され、その記念に作った曲)
次回は1月8日の放送です。
来年もよろしくお願いします。
http://fm-sanin.co.jp/retoro/index.php?e=1139
レトロ日記 09:41 AM comments (x) trackback (x)