北風はいつもの年より早く雪を連れてきた。
暖房ＯＮ。
部屋を包む空気が暖まるまで背を丸めるのはなぜだろう。
今もボスはＣの字のように体を丸め、ソファーで居眠りを始めた。
すると、３頭の声、声、声。


ゴールドシップ「億千万！億千万！ジャパーン！ジャパーン！」

エイシンフラッシュ「この日にかけてきただけあって、ゴールドシップ君は気合いが入ってるなあ。」

ジェンティルドンナ「ていうか、郷ひろみになったつもりだけど、私には日村にしか見えないわ。」

ゴールドシップ「年々外国馬も恐れをなしてつわものが来なくなってるが、僕がそれほど怖いらしい。」

ジェンティルドンナ「君、今回が初めてでしょ。去年勝ったのは私だし。」

エイシンフラッシュ「どうもＪＣって俺は苦手なんだよな。なぜなんだろう。」

ゴールドシップ「それでも出続ける根性が素晴らしい。オルフェさんやキズナ君、エピファ君に自慢してあげてよ。」

ジェンティルドンナ「まあ皆さんは有馬でお待ちかも。」

ゴールドシップ「オルフェーブルのための有馬。じゃあ、ゴールドシップのためのＪＣ。金の雨が降るぞ、レインメーカー！！」

そんな３強の戯言を蔑むように見つめる１頭がいた。
アンコイルド「僕の父はジャイアンツ。東京の空は僕が輝く！」


冬の空は俺の空。
府中の杜に響くクリスマスの鐘。



ボスの笑いの壷屋
●お湯入れて　愛妻弁当　いい夫婦
●おいしいよ　三分待つけど　いい夫婦
●タグ付けて　いってらっしゃい　いい夫婦
●白刃取り　包丁でいちゃつく　いい夫婦

急速に冷え込む大地。
熱狂が列島を防寒してくれるような出来事があればよいのだが、
と、ボスはバレーボールを見ながら思う。
フェイントのごとき首の揺れで居眠りをしていたら
夢の中に奴らが現れた。


トーセンラー「最近の僕らの世界でも女性が脚光を浴びているが男としてなんとかせねば。」

ダノンシャーク「ジェンティルもマンボもいなければな。」

グランプリボス「そうだよな。で、今週はオス一頭のみが脚光を浴びることになればよし。」

トーセンラー「おいおい、一頭のみかよ。誰だよその一頭って。」

グランプリボス「（Ｍ）名馬（Ｂ）牡馬。（Ｍ）もちろん（Ｂ）ボス。（１）ただ一頭は俺！」

ダノンシャーク「今度はどんな語呂合わせだ？」

グランプリボス「ＭＢ１。攻撃的布陣だ。」

トーセンラー「（Ｍ）みんなが（Ｂ）バカにするぜ。グランプリボスちゃん。」

ダノンシャーク「略してグラチャン。絶対にブロックしてやるよ。」


ＭＢではなくＷＳが脚光を浴びているんだが。
内枠と外枠に注意を払うか。
案外、最後方からのバックアタックもありか。


ボスの笑いの壷屋
●女性用：匂いから部屋の中で自分以外の女性の存在履歴探知機能。
●男性用：その履歴を削除できる機能。

立冬が過ぎ、街の木々も色づいて来た。
冷たい風と乾いた空気、
冬のコンクリートに響く靴の音がボスは好きだ。
車のドアを開ける。滑り込み、シートを少し倒す。
車内に差し込む日光はまだ暖かい。
やはり居眠りだ。
夢の中に華やかな女性達の声が届く。


ディアデラマドレ「こんにちは。ディアデラマドレでーす。ウフ。」

ヴィルシーナ「あまり見ない子ね。出馬表の間違い？」

デニムアンドルビー「流行りの誤表示じゃない？」

ディアデラマドレ「私は芝エビじゃないです。」

ヴィルシーナ「ま、ゲートが開いたら芝の上でエビぞっていなさいよ。」

メイショウマンボ「大変よ！私気付いちゃった！」

ヴィルシーナ「また大騒ぎして。マンボちゃん大注目されているんだから。しっかりなさい。」

メイショウマンボ「タナカ＆ノリモトってわかる？」

デニムアンドルビー「デニムアンドルビーじゃなくてタナカ＆ノリモト？」

ディアデラマドレ「もしかして、ゴールデンイーグルスの必勝パターンじゃないかしら。」

メイショウマンボ「その通り！誰だ君？」

ディアデラマドレ「マドレちゃんよ。ウフ。」

ヴィルシーナ「背番号はマー君が１８、則本が１４ねえ。」

メイショウマンボ「わかったでしょ。」

ディアデラマドレ「わかんなーい。ウフ。」


ディアデラマドレ。知らない振りをする恐るべき牝馬。
末恐ろしいというか、末脚恐ろしいレディである。



ボスの笑いの壷屋
●コインランドリーでウルトラマンがスーツを洗っていた。
　レッドキングが泥をつけたもんで
●コインランドリーで政治家がお金を洗っていた。
　私はクリーンですよ。